日本語を入力するとき、頭の中でローマ字を一文字ずつ考えていませんか。
たとえば「これでは」と入力するとき、
k → o → r → e → d → e → h → a
と一文字ずつ綴りを組み立て、そのたびにキーボードからキーを探す。ローマ字は分かっているのに、入力がなかなか続かない。
これは、ローマ字を知らないからとは限りません。
日本語の言葉と、実際に動かす指が、まだ一続きの動きとして結びついていない段階です。
目指したいのは、「これでは」という日本語を見たとき、毎回すべての綴りを強く意識しなくても、練習してきた指の動きが続いて入力できる状態です。
ゆびおぼえでは、この状態を次の言葉で表しています。
頭の中は、日本語のまま。ローマ字は、指が覚えている。
ただし、脳がローマ字変換をしなくなると断定しているわけではありません。「指が覚える」は、一文字ずつローマ字を意識する場面を減らし、日本語の言葉に対して一連の指の動きとして入力できる状態を目指す、という学習体験を表す言葉です。
一文字ずつ考えると、入力が何度も止まる
ローマ字入力を覚えたばかりのころは、日本語からローマ字へ変えるだけでも考えることがたくさんあります。
「こ」はkoだから、まずK、次にO。
「れ」はreだから、RとE。
「で」はdeだから、DとE。
さらに、それぞれのキーがどこにあるかを探し、どの指を動かすか決めます。
一つの言葉を打つ間に、
- 日本語をローマ字へ置き換える
- 次のアルファベットを確認する
- キーの位置を探す
- 動かす指を決める
- キーを打つ
という小さな判断が何度も入ります。これでは、一文字打つたびに入力が止まりやすくなります。
ここで、いきなり速度を上げようとする必要はありません。まず減らしたいのは、キーを打つたびに「次は何だろう」と迷う場面です。
「指が覚える」とは、言葉に対する動きを繰り返すこと
ここでいう「指が覚える」とは、日本語の言葉に対して、練習した指の動きが続く状態を目指すことです。
同じ日本語の言葉を、基本とするローマ字と指使いで繰り返し入力する。その経験を重ね、一文字ずつ綴りを確認していた場面の一部で、次の指が続いて動くようになることを目指します。
たとえば「これでは」を練習するとき、最初はkoredehaを見ながら、一文字ずつ確かめても構いません。
繰り返すうちに、Kを打ったあとにO、Rを打ったあとにEという動きが続く場面が増えてきます。やがて「これでは」という言葉を見て、途中で止まらずに最後まで打てる回が出てきます。
その変化を、ゆびおぼえでは「ローマ字は、指が覚えている」と表現します。
意味のないキー列だけで終わらず、日本語の言葉で練習する
新しいキーの位置を覚えるために、同じキーを繰り返し打つ練習には意味があります。
しかし、キーの位置だけを確認して終わると、日本語を入力するときに、その動きをどう続ければよいかは別に練習しなければなりません。
そこで、覚えたキーを使って入力できる日本語の言葉へ進みます。
練習の流れは、次のようになります。
キーを覚える
→ 覚えたキーを日本語の単語で使う
→ 同じ動きを別の言葉でも繰り返す
→ 打てる言葉や文章を増やす
一つのキーを単独で打てることと、言葉の中で迷わず動かせることは同じではありません。
たとえばKの位置を覚えたら、ka、ki、kuのような組み合わせを確認し、それを含む日本語の単語で使います。別の単語でも同じ指の動きを繰り返すことで、「このキーを押す」という練習を、「この言葉を入力する」という練習へつなげます。
最初から長い文章を打とうとしない
日本語の文章を速く打ちたいと思うと、すぐに長文練習へ進みたくなります。
しかし、短い単語の中でも一文字ずつ止まっている段階で文章を打つと、考えることがさらに増えます。句読点や漢字変換、文章の続きを読むことも加わるからです。
まずは、短い日本語の言葉を正確に打ちます。
同じ言葉を何度か打つ。次に、同じローマ字の動きを含む別の言葉を打つ。途中で止まる回が減ってきたら、少し長い言葉や短い文章へ進む。
この順序なら、いきなり文章全体を速く打とうとせず、どの言葉で指が止まるのかを確かめられます。
速さを測るのは、そのあとでも遅くありません。まずは、正しい入力を同じ動きで再現できることを優先します。
キーを探している段階なら、先に土台を整える
ローマ字を一文字ずつ考えることに加えて、キーボードから毎回キーを探しているなら、先に指の出発点を作る必要があります。
一本指や少数の指でキーを探している場合は、「一本指入力を直したい人へ|タッチタイピングへ移る最初の練習」で、FとJを基準にホームポジションを作るところから確認してください。
ホームポジションは分かっていても、同じキーを毎回違う指で打ってしまう場合は、「タッチタイピングの指使いは絶対? 標準運指とホームポジションの考え方」で、基本の担当指と、打鍵後に戻る考え方を確認できます。
第1記事は指の帰る場所、第2記事は指が迷わないための基準、この記事は覚えた指の動きを日本語の言葉へつなげる段階を扱っています。
ふの標準入力はfu。ローマ字設定も確認する
日本語のローマ字入力には、同じかなを入力する複数の方法があります。
たとえば、
し = shi / siふ = fu(ゆびおぼえの標準入力)つ = tsu / tu
のような違いがあります。
ローマ字入力には、かなによって複数の綴りが使われることがあります。ゆびおぼえの現行設定では「ふ」の標準入力にfuを使います。教材のローマ字設定を確認し、練習中は同じ綴りを繰り返しましょう。
ただし、練習の途中で同じかなを毎回違う綴りにすると、指の動きも毎回変わります。初心者のうちは、まず一つの綴りを基本として繰り返すほうが、動きを安定させやすくなります。
ゆびおぼえではローマ字設定を確認・変更できます。学習中に入力方法を変える場合は、設定に表示される綴りを確認してから練習してください。
進歩は、速さだけでなく「止まる回数」でも見る
練習を始めると、入力速度の数字が気になります。
しかし、一文字ずつローマ字を考える状態から移る途中では、次のような変化も確かめてください。
- 短い言葉を最後まで続けて打てたか
- 同じ言葉で、毎回同じ指の動きを使えたか
- 次のローマ字を考えて止まる回数が減ったか
- 別の言葉でも、覚えた動きを使えたか
- ミスをしたあと、落ち着いて元の動きへ戻れたか
最初からすべての言葉を滑らかに打てなくても構いません。
昨日は一文字ずつ止まっていた短い言葉を、今日は途中まで続けて打てた。そのような小さな変化を重ねながら、打てる言葉を増やします。
頭の中は日本語のまま、言葉に対して指が動く状態へ
ローマ字入力が遅いとき、必要なのはローマ字表を何度も読み直すことだけではありません。
覚えたキーを、日本語の単語の中で使う。同じ指の動きを別の言葉でも使う。短い言葉で止まる回数が減ってから、文章へ進む。
この流れによって、一文字ずつローマ字を意識する場面を減らし、日本語の言葉に対して一連の指の動きとして入力できる状態を目指します。
頭の中は、日本語のまま。ローマ字は、指が覚えている。
これは、何も考えずに必ず打てるという約束ではありません。キーからローマ字へ、ローマ字から日本語の言葉へ、練習の単位を少しずつ広げていくための考え方です。
日本語の言葉で、実際の指の動きを確かめる
日本語タイピング練習「ゆびおぼえ」では、最初からすべてのキーや長い文章を覚えません。
新しいキーを少しずつ増やし、覚えたキーで入力できる日本語の言葉を使って、同じ指の動きを繰り返します。
まずは、画面に出た短い言葉を、速さより正確さを優先して打ってみてください。
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